訳アリ令嬢ですが、憧れの公爵様に溺愛されています!
 そこからは、無我夢中だった。
朝から晩まで魔法訓練。夕食後に座学。深夜に眠り早朝に起きる。
 家庭教師も増やし、王宮の魔術師にも魔法訓練に付き合ってもらった。公爵家の仕事も少しずつ任されるようになり、多忙を極めた。

 魔法学園にも入学したが、飛び級し卒業。
卒業してからは、王宮魔術師としての仕事に就き、休日は公爵領の仕事をこなす毎日。

 忙しくてローズに会えないのが辛かった。

 だが、計画通り公爵の位を継ぎ、王宮魔術師として出世していくたびに、ローズに会える日が待ち遠しく楽しみになっていった。

 ローズが学園を卒業することを知り、彼女と対の台座を特注で作らせ、彼女の瞳と自分の瞳の色の魔法石も用意した。

 久しぶりに会ったローズは、妖精のようだった。ライラックの花飾りが愛らしく、光を浴び輝く金色の髪に映えている。海のような美しいアイスブルーの瞳、薔薇色に染まる頬、小さく結ばれた唇。ローズを見た瞬間に、彼女にもう一度恋をした。

 そうして二人きりになると、緊張して何から話せば良いか分からなくなり、「…胸を、見せてくれ。」と切り出してしまったのだった。
 はっきり言って大失敗だったが、なんとかその場で結婚を申し込み、伯爵を説得した。

 彼女が少し、遠い目をしていたのが気になったが、これでようやく彼女と結婚出来るのだと、私は嬉しくてたまらなかった。
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