訳アリ令嬢ですが、憧れの公爵様に溺愛されています!
「さぁ、ローズもやってみるんだ。」
不安になりながらもウィルの顔を見つめると、彼は優しく手を握って微笑んでくれました。確かに、「魔力を流す」と考えるよりは、「石の中に花を咲かせる」方が、まだ出来るような気がします。
私は彼の左手の台座に青の魔法石を当てました。
「ふぅ…」
深呼吸をして、青い宝石の中に、彼が咲かせてくれたものとそっくりな白い薔薇が咲きますようにと願います。すると、先程と似たような優しい淡い光が私たちを包みました。
彼の魔力と私の魔力が少しだけ混ざったような、不思議な感覚。彼と私が見えない深いところで繋がるような──。
恐る恐る目を開けると、彼の左手にも、青い指輪が完成していました。薔薇の台座に青い宝石、その中には白い小さな小さな薔薇。
「っ!!できた!できました!ありがとうございます!ウィル!」
思わず声を張り上げて喜んでしまいました!すると、ウィルの手が私の腰に回りました。急にかなり密着したので声をあげることも出来ませんでしたが、これは抱きしめられているのですね!び、びっくりです!
「これで君は私のもの。早く結婚しよう。ローズ。」
耳元で呟かれたもので、もう私の心拍数は大変なことになりました。私達の周りに花が咲き始めます。止められません!
おほん、と前公爵様が咳払いされたので、しぶしぶといった様子でウィルが私を離します。
「これで婚約式を終了する。…羽目は外さないように。」
苦言をこぼされ、私は俯いて赤くなるよりほかなかったのでした。