訳アリ令嬢ですが、憧れの公爵様に溺愛されています!
 いよいよ公爵家へ向かう前日。私は最後の荷物チェックをしています。植物図鑑に薬草辞典、花言葉の本に……。軍手、スコップ、鍬と……。

「お嬢様!ご令嬢の荷物とは思えませんわ!庭師の持ち物になってますよ!」
「あら、全部必要ですよ?」

 アンナに早速ダメ出しされました。だってあのひろーいお庭を美しく花で彩って、デイジーにも、他の花の妖精さんたちにも健やかに暮らしてもらいたいんですもの。庭師として、腕が鳴りますね!

「それより、お嬢様はこちらの品々をきちんとチェックしていただきませんと!」
「はぁ……開封しても良いのかしら……返品できなくなるんじゃないかしら?」
「返品なんて必要ありません!天下の筆頭王宮魔術師で公爵様ですよ?!」
「ソウデスヨネ……」

 実は、この一週間、毎日ウィルから贈り物が届いています。1日目は忘れ物かしらと思い開封したのですが、見たこともないような大きなダイヤのネックレスで腰を抜かしました。
 伯爵家レベルでもちょっと無理な代物です。国宝じゃないかしら。

 以降、2日目から怖くて開けられず、5日分溜め込んでしまいました。
 まさか開封もせず持っているとは思わないでしょうね……。でもあのすごすぎるダイヤと同レベルのものが5個も来たらと思うと恐ろしくて開けられません。
 見たら最後、泥棒や盗賊に怯え、警備を強化しなくては恐ろしくて眠れなくなりそう!

「お嬢様、お手紙でも入っていたらどうするのですか?お返事も書かず、明日顔を合わせることになるのですよ?」
「確かにそうですね……。わ、わかりました、開けてみましょう……」


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