訳アリ令嬢ですが、憧れの公爵様に溺愛されています!
 次の日から、空き時間は汚れても良いワンピースに着替えて、軍手を装着し、帽子をかぶって庭で作業するようになりました。早速現れた私に、ジェームズお爺様は呆れ顔でしたが、全然気にしませんよ!

「さぁ、たくさんお水を飲んで、元気に育ってくださいね。」
『ありがとう!』
「いえいえ。大きく育ってくださいね。」

 この庭園にいらっしゃる妖精さん達とも仲良くなってきました。もちろんデイジーもこちらにいます。私は大好きなお花や花の妖精に囲まれて、とっても楽しく過ごしています。

***

「ローズ様、お召し替えを。」

 自室に戻ると、アンナが着替えを促してくれました。着替えていると、メイドのマリーさんが私が脱いだワンピースを持っていくところでした。毎日土をつけて帰ってくるので、お洗濯が大変だろうな、と思うと、申し訳なく、思わず呼び止めてしまいました。

「ま、マリーさん!」
「はい、お嬢様?どうされましたか?」
「いつもありがとうございます。これ、よかったらもらっていただけますか?」

 ミモザのお花。私が大好きな可憐なお花です。感謝の気持ちを込めて、マリーさんにプレゼントしました。すると、驚いた顔だった彼女の顔が一気に笑顔になりました。

「まぁ素敵なお花。ありがとうございます。」
「こちらこそいつもお洗濯ありがとうございます。助かります。」

 マリーさんはニコニコと笑ってうれしそうに「栞にして大事にしますね!」と宣言し、部屋を出ていきました。

 公爵家では貴族から使用人の方への贈り物は珍しいのかもしれません。使用人も家族同然だと育てられてきたので、線引きが難しいですが、喜んでもらえたようだったので私はとても嬉しくなりました。

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