訳アリ令嬢ですが、憧れの公爵様に溺愛されています!
 気が付くとそこは、公爵邸の庭園の一角、私が泣いていたローズガーデンでした。
 ウィルは私を抱きしめ、「怪我は?!」と言いつつ私の全身を確かめています。

「何も。土の妖精王様にご挨拶させていただいただけです」
「良かった……心配した……」

 王女様も放って私を探しに来てくださるだなんて。それだけで、嬉しかった。
 貴方の優しさに甘えて、自分の気持ちだけ守って、わがままを突き通してしまってごめんなさい。
 責任感につけこんで、このような場違いな場所にきてしまいました。

 私はただの、キズモノの令嬢なのに。

 少しだけ痩せた、疲れたその顔に手を当てました。久しぶりにしっかりと目と目が合います。
 貴方が大好きです。これからも貴方以上に好きになる人は現れないでしょう。
大好きだから、幸せになってほしい。

「婚約を、破棄させてください。」
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