訳アリ令嬢ですが、憧れの公爵様に溺愛されています!
せっかくメイドさん達が仕上げてくださったドレスと髪も乱れてしまいました。もう一度セットし直すことになり、自室に戻ります。ウィルは私を待つ間、パーティ会場の確認に向かいました。
身支度が整ったところで、執事長がやってきました。私に来客だというので入室を許可すると、なんとマーガレット殿下が護衛もつけずに入室されてきたのです!勢いよく起立して淑女の礼をします。
「顔をあげてくださいな」
「お初にお目にかかります。アークライト伯爵家長女、ローズ・アークライトと申します」
「あなたがエルフィストン公爵の特別な人ね」
正面から拝見するマーガレット殿下は、さすが王女たる威厳もさることながら、女性としての品格も持ち合わせた素敵なレディでした。ストレートの黒髪は美しく、宝石のような翠の瞳は光を集めて輝きを放っています。
あまりの美しさに圧倒され、言葉が出ずにいると、王女から「さて傷を見せてもらえるかしら?」と話しかけられました。
「なぜ、そのことを……」
「誤解しないでね。エルフィストン公爵からは何も聞いておりませんわ。ただ彼は、『古傷を癒したい人がいるから治癒魔法の練習がしたい』とおっしゃって。それでここ数日、王子と私と3人で練習をしてきたのよ。変な噂を立てられると面倒だから、私が公爵様の魔力を気に入ったので呼び出している設定だったのだけれどね」
情報量が多くて混乱しています!
つまり、お兄様情報の「王女様が何かにつけてウィルを呼び出す」というのは建前で、実際は王女様による治癒魔法のレッスンだったということでしょうか。王女直々に他国の魔術師に大して魔法をレクチャーしたとあれば、外交問題になっても面倒ですから、王女が気に入っていることにしたのでしょう。
そして、「古傷を癒したい人」とは私のことでしょうか。治癒したいと思ってくれたのなら……嬉しいです。彼が王宮魔術師となってからのことは存じ上げませんが、彼にも使えない魔法があったのですね。
通常の執務に加えて、治癒魔法の練習。それで彼は疲れた顔をしていたのかもしれません。
「だけど、傷が無くなったら貴女に逃げられるかも、とでも思ったのか、公爵様ったら全然上達しなくて。結局、治癒魔法は完全にマスター出来なかったわ。だから、私が治せそうなら、治して差し上げようかと思って」
身支度が整ったところで、執事長がやってきました。私に来客だというので入室を許可すると、なんとマーガレット殿下が護衛もつけずに入室されてきたのです!勢いよく起立して淑女の礼をします。
「顔をあげてくださいな」
「お初にお目にかかります。アークライト伯爵家長女、ローズ・アークライトと申します」
「あなたがエルフィストン公爵の特別な人ね」
正面から拝見するマーガレット殿下は、さすが王女たる威厳もさることながら、女性としての品格も持ち合わせた素敵なレディでした。ストレートの黒髪は美しく、宝石のような翠の瞳は光を集めて輝きを放っています。
あまりの美しさに圧倒され、言葉が出ずにいると、王女から「さて傷を見せてもらえるかしら?」と話しかけられました。
「なぜ、そのことを……」
「誤解しないでね。エルフィストン公爵からは何も聞いておりませんわ。ただ彼は、『古傷を癒したい人がいるから治癒魔法の練習がしたい』とおっしゃって。それでここ数日、王子と私と3人で練習をしてきたのよ。変な噂を立てられると面倒だから、私が公爵様の魔力を気に入ったので呼び出している設定だったのだけれどね」
情報量が多くて混乱しています!
つまり、お兄様情報の「王女様が何かにつけてウィルを呼び出す」というのは建前で、実際は王女様による治癒魔法のレッスンだったということでしょうか。王女直々に他国の魔術師に大して魔法をレクチャーしたとあれば、外交問題になっても面倒ですから、王女が気に入っていることにしたのでしょう。
そして、「古傷を癒したい人」とは私のことでしょうか。治癒したいと思ってくれたのなら……嬉しいです。彼が王宮魔術師となってからのことは存じ上げませんが、彼にも使えない魔法があったのですね。
通常の執務に加えて、治癒魔法の練習。それで彼は疲れた顔をしていたのかもしれません。
「だけど、傷が無くなったら貴女に逃げられるかも、とでも思ったのか、公爵様ったら全然上達しなくて。結局、治癒魔法は完全にマスター出来なかったわ。だから、私が治せそうなら、治して差し上げようかと思って」