嘘と愛
ベッドに寝かされると、楓はちょっと照れたように視線を反らした。
「…恥ずかしい? 」
ちょっと意地悪そうに、幸喜が尋ねた。
「…恥ずかしいです…」
「どうして? 」
そっと体を重ねて来る幸喜。
幸喜の重みを程よく感じて、楓はまた赤くなった。
「…だって…もう22年たってるから…。あの頃より、私…かなり年を取っているから…。子供だって産んでいるし…」
「年を取ったのは、僕も同じだよ」
チュッと幸喜は楓の首筋にキスをした。
同じだと言われても、幸喜の体は年齢のわりにはとても引き締まっていて逞しい。
肌もスベスベすべしている。
スーッと、幸喜は指先で楓の首筋…そして体をなぞった…。
「昔と変わらないよ。綺麗な肌だし、あの時のままだよ」
本当? と、楓は幸喜を見つめた。
目と目が合うと、幸喜はそっと微笑んだ。
「イリュージュ…愛しているよ。この先、僕がお爺ちゃんになっても一緒にいてね」
「え? 」
「だから。…僕と、結婚して下さい」
嘘? プロポーズ?
楓はどう答えていいのか分からず、驚いた目で幸喜を見ていた。
「これが、最後のプロポーズだからね」
驚いたまま何も答えない楓の唇に、幸喜はそっとキスをした。
吸い上げられた唇から、幸喜の舌がするりと滑りこんでくる…。
口の中いっぱいに犯されて…
なにも考えられなくなった楓。
唇が首筋に…鎖骨に…胸に降りて来る…。
22年前と変わらない感度、そして幸喜のぬくもりを感じて。
楓は胸がいっぱいになっていた。
幸喜のが楓に入り口に触れた。
「ここから、椿と桜が出てきてくれたんだね。わかるよ、2人のエネルギーを感じるから」
「…貴方がくれた、大切な命だから…産みたかったの…」
「産んでくれて、有難う…」
幸喜の指先が、楓の入り口を広げてゆく…。
ギュッと幸喜の背中にしがみついた楓。
広げられた入り口から、幸喜が入って来ると。
楓の体が大きく反応する…
激しい動きの中、感じている楓を見ていると幸喜はとても幸せを感じた…。
「イリュージュ、愛しているよ…」
感じる中、楓はそっと目を開けて幸喜を見た。
目と目が合うと、自然と気持ちが伝わってくる…。
「幸喜さん…私も…愛しています…」
素直に答える楓。
額と額とくっつけて、微笑み合う幸喜と楓。
ずっと離れていた22年の時間が、一度に戻ったようで。
最高のエネルギーを感じていた。
外には綺麗な星空が広がっている夜だった。