嘘と愛
翌日。
幸喜と楓は一緒に朝を迎えた。
お互いに同時に目を覚まして、ちょっと照れたような目で「おはよう」と言い合う新鮮さ。
ルームサービスでモーニングを頼んで、ゆっくりした朝を過ごしていた。
「あの…。お話ししたいことが、あります」
なに? と、幸喜は珈琲を飲みながら楓を見た。
「実は。…貴方の息子様になる、大雅さんとずっと密会していました」
「密会? 大雅と? 」
「はい。大雅さんとは、5年前に知り合いました。…私が引き受けた被告人の裁判で、担当していた警察官の方でした」
5年前。
楓は窃盗事件の裁判で、被告人の弁護をしていた。
裁判の担当は検事の役目で、警察官が出てくることはないが、大雅は傍聴席で裁判を見ていた。
国選弁護人である楓を見て、大雅はどこかで見覚えがある人だと思った。
署に戻った大雅はあの誘拐事件の事を、調べるために資料室にこもっていた。
すると、誘拐事件で逮捕された犯人の写真が添付されていた。
それはまだ20代の時の楓(イリュージュ)だった。
あまり変わっていない若さで、瞳が悲しげだった。
綺麗な緑色の瞳が印象的で、間違いないと大雅は確信した。
犯人の名前は藤崎イリュージュ。
しかしその先の資料には、無罪釈放と記されていた。
大雅はもう一度、楓に会いたいと思った。
その後、数々の裁判を傍聴に行き、大雅は楓に会えるチャンスを伺っていた。
何度目かの裁判で、大雅はようやく楓に会うことが出来た。
「あの…」
大雅が声をかけると、楓はちょっと警戒したように大雅を見た。
楓と目と目が合うと、大雅はイリュージュだと確信した。
女神のような優しい目が、写真のままだった…。
「すみません、俺は宗田大雅と言います」
宗田と聞くと、イリュージュはちょっと怯えた目をした。
「あ、あの。俺、貴女の味方ですから」
そう言われると、楓はちょっと安心した目をした。
これがきっかけで、大雅と楓は少しずつ距離が近くなっていった。
大雅は誘拐事件の真相を探っていることを、楓に話した。
そして現在、宗田家にいる椿は偽物だと話した。
楓もずっとアメリカにいたが、3年前日本に戻って来て日本の弁護士資格も取得した。
その時、偶然にも担当医の草加部瑠璃に再会して、椿と桜はあの誘拐事件でバラバラにされた。
幸喜と楓は一緒に朝を迎えた。
お互いに同時に目を覚まして、ちょっと照れたような目で「おはよう」と言い合う新鮮さ。
ルームサービスでモーニングを頼んで、ゆっくりした朝を過ごしていた。
「あの…。お話ししたいことが、あります」
なに? と、幸喜は珈琲を飲みながら楓を見た。
「実は。…貴方の息子様になる、大雅さんとずっと密会していました」
「密会? 大雅と? 」
「はい。大雅さんとは、5年前に知り合いました。…私が引き受けた被告人の裁判で、担当していた警察官の方でした」
5年前。
楓は窃盗事件の裁判で、被告人の弁護をしていた。
裁判の担当は検事の役目で、警察官が出てくることはないが、大雅は傍聴席で裁判を見ていた。
国選弁護人である楓を見て、大雅はどこかで見覚えがある人だと思った。
署に戻った大雅はあの誘拐事件の事を、調べるために資料室にこもっていた。
すると、誘拐事件で逮捕された犯人の写真が添付されていた。
それはまだ20代の時の楓(イリュージュ)だった。
あまり変わっていない若さで、瞳が悲しげだった。
綺麗な緑色の瞳が印象的で、間違いないと大雅は確信した。
犯人の名前は藤崎イリュージュ。
しかしその先の資料には、無罪釈放と記されていた。
大雅はもう一度、楓に会いたいと思った。
その後、数々の裁判を傍聴に行き、大雅は楓に会えるチャンスを伺っていた。
何度目かの裁判で、大雅はようやく楓に会うことが出来た。
「あの…」
大雅が声をかけると、楓はちょっと警戒したように大雅を見た。
楓と目と目が合うと、大雅はイリュージュだと確信した。
女神のような優しい目が、写真のままだった…。
「すみません、俺は宗田大雅と言います」
宗田と聞くと、イリュージュはちょっと怯えた目をした。
「あ、あの。俺、貴女の味方ですから」
そう言われると、楓はちょっと安心した目をした。
これがきっかけで、大雅と楓は少しずつ距離が近くなっていった。
大雅は誘拐事件の真相を探っていることを、楓に話した。
そして現在、宗田家にいる椿は偽物だと話した。
楓もずっとアメリカにいたが、3年前日本に戻って来て日本の弁護士資格も取得した。
その時、偶然にも担当医の草加部瑠璃に再会して、椿と桜はあの誘拐事件でバラバラにされた。