嘘と愛

 幸喜が言うように、ディアナは藤崎ディアナのままだった。
 現住所も宗田家ではなく、実家になっているが、現在は売りに出されている。
 ディアナの両親は既に死亡して30年経過している。
 身内は1人。
 藤崎イリュージュ…現在は小賀楓に改名されている。
 弁護士で主に国選弁護人を引き受けている。

「小賀…楓…」

 楓の名前に零は何かを感じているようだ。

「あの…」

 資料を持ってきた男性刑事に零は声をかけた。


「すみません、先日のサングラスをかけた女性について。何か情報は入っていませんか? 」
「サングラスの女性…。その女性については、何も情報は入っていません」

「そうですか…。とても身軽で、武術を極めている女性のようなのですが」
「そうですね、ちゃんと喝を入れるツボもしっているようですね」

「はい、なんだか外国人のような女性だったのですが」
「そうですか。残念ですが、手がかりの繋がる情報は全くありませんね」

「判りました」

 ちょっと残念そうにため息をついて、零は席に戻った。



 それから零が仕事が終わったのは、20時を回る頃だった。
 ちょっと疲れた顔をして、零が署から出て来た。


 署を出て零が歩いて来ると。

「あれ? 水原刑事、今お帰りですか? 」

 偶然なのか、後ろから聖司がやって来た。

 今日は良く会うなぁ…。
 零はちょっと変な感覚を感じていた。
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