嘘と愛
大雅は仕事に戻りパソコンに向かった。
そして1通のメールが届いているのを開いた。
(宗田ホールディング殿。日々のお疲れを癒して下さい。お幸せを祈っております…。田中菊代)
とメールに記載されている。
そして銀行振り込みの控えが添付されている。
田中菊代。
あの時フェリーで出国したディアナである。
しばらく音沙汰がなかったが、3年ほどして宗田ホールディングにメールが届くようになった。
住む場所は各国点々としているようだが、今はパートナーとしてイギリス人の年下男性が一緒にいる。
各国を回っている医師で、貧しくて医療費が払えない人達に無償で診察をしたり手術をしてい、とても優しい男性。
ディアナは表向きは田中菊代で通しているが、彼には本当の前を教えているようだ。
イリュージュからもらったお金は、彼の仕事の資金にあてているのと、定期的に宗田ホールディングにと送金されてきている。
高額でもなく少額でもない、気にならない程度の金額で送られてくるお金。
これはディアナのせめてもの「愛」の形なのだと大雅は受け取っている。
嘘は悪い事じゃない。
その先にはきっと…計り知れない愛があるはずだから。
愛の形はそれぞれ違うけど。
大切なのはどう受け取るか…それで全てが変わってゆくのだろう…。
この愛が永遠に続きますように。
嘘と愛END