嘘と愛
「…俺、我慢できない…」
グッと零を顎を取って、大雅はじっと見つめた。
「ねぇ零。俺に、まだ隠している事あるだろう? 」
ドキッと一瞬だけ零の目が怯んだのを見て、大雅はニコっと笑った。
「隠しているって言うよりも…言い出すタイミング逃しちゃった感じかな? 」
まぁ…そうだけど…。
そう思った零は申し訳なさそうに大雅を見た
「別に、俺は隠し事が悪いなんて思わない。言えない事も、言い出せない事も誰にでもある。それを隠しているからって、責める気はない。それも、愛だと俺は思うから」
「愛? 」
「ああ、自分を護る為の愛。そうだろう? 」
自分を護る為の愛。
そう言われると、零の胸がキュンとなった。
「零が言い出せない事って…仕事の事だろう? 」
な、なんでわかるの?
驚いた目をしている零に、大雅はそっと微笑んだ。
「公務員って言ってたけど。公務員でも、違う公務員だろう? 」
なに? もしかして調べたの?
驚いている零に、大雅はそっとキスをした。
軽く唇にキスをして、零を見つめて微笑む大雅。
「…お父さんと同じ仕事しているよね? 今」
嘘…なんでわかるの?
図星を指されて零は何も言い返せなかった。
「やっぱりそうなんだな? 初めから、気づいていたよ。言葉使いも几帳面だし、どこか堅物な感じがしたから」
「…ごめんなさい。言い出せなくて…」
「できれば、零には普通に暮らして欲しいから。落ち着いたら、辞めれるかな? 」
「辞めるって…それは、考えていました。…こんな不自由な手では、迷惑ばかりかけていますから」
「そうじゃない。俺は、こんな不規則な仕事をしてほしくないだけ。それに、危険もいっぱいある。だから、俺が護るから無理しないで欲しいんだ」
優しい大雅の言葉が、零の気持ちを穏やかにしてくれる…。
ゆっくりと大雅の唇が降りてきて、チュッと零の唇を吸い上げて行く…。
そのままパジャマのボタンを外された零は、ちょっとだけ拒んでみたが、拒む零の手を大雅が優しく包み込んでくれた。
その手を感じると、零は素直に大雅に身を委ねた。