嘘と愛
「…やっぱりあの子って、ただのバカね」
反対側の通路で見ていた椿がいた。
「でもよくやってくれたわ。バッチリね」
携帯電話を手に、椿はニヤリと笑った。
携帯電話には、大雅と栞が抱き合っている写真が撮られていた。
栞から抱き着いたのだが、写真を見ると2人が抱き合っているように写っている。
「いい手土産だわ」
不敵に笑って椿はその場から去って行った。
その日はそれだけで、あとは何もなく過ぎていった。
零の帰りは深夜を回って、大雅が寝てしまった後に帰宅した。
翌日はいつもと変わらない朝を迎え、今日も頑張ろうと言って大雅と零は仕事に向かった。
宗田ホールディングが今日も忙しく、バタバタとしている。
そんな中、栞は仕事を休んでいた。
昨日、栞に財布を盗られそうになった恭平はいつもと変わらず仕事をしている。
昼下がり。
空港近くのホテルで、ディアナらしき姿を目撃した情報が入り、零は調査に来ていた。
目撃のあったホテルには既にディアナの姿はなかったは、防犯カメラに変装はしているもののディアナに間違いなさそうな人の姿が映っていた。
まだ出国した形跡はない為、空港に厳重警備を手配してディアナが出国するのを阻止する事にした。
もしかすると、偽造パスポートを手にしている可能性もある為、その辺りも厳重警戒にしている。