嘘と愛
　病院の医師からの証言で、ディアナの意識は戻っていてもおかしくないと言われた。
　事故の時、車にぶつかり意識を失ったディアナだが外傷もなく脳波にもどこにも異常は見られなかったと。

　美奈が殺害された夜。
　確かにディアナは病院のベッドに寝ていたと証言されているが、殺害時刻は、待機していた看護師達は仮眠に入っていた事が判明している。

　その他も美奈とディアナが会っていたと思われる時刻は、夜勤の看護師が救急に追われていたり、仮眠に入り手薄だったことも判明している。




　調査を終えて零が警察署に戻って来ると、栞が警察署に来ていた。

　地味なグレーのワンピースに、さほどメイクもしないままでとても疲れた顔をしている栞。
　顔にガーゼをあて、右手に包帯を巻いて首にも包帯を巻いている痛々しい姿の栞は被害届けを出すために警察署に来ていた。

　　
　戻ってた零は、栞の出した被害届を見て驚いた。

　被害届の内容は。
　小早川栞、勤務先の上司、宗田大雅に帰り道に襲われ無理矢理ホテルに連れ込まれそうになり逃げたが、掴まり顔や手足や体を複数殴られたと報告が上がっていた。


　大雅がそんな事をするわけがない。
　零はそう確信できたが、被害届が提出されたからには警察は事情聴取をしなくてはならない。
　そして証拠があるかどうかも調べなくてはならない。
　
　被害届を受理した警察側が、大雅に連絡をして早々に署に来てもらうことにした。
　

　零は担当から外れた為直接調査に関わる事はなかった。

　だが非常に困ったことになった…　…。
　現在、大雅と同棲している零。
　だが、容疑のかかった人と一緒にいる事はできない。
　どうしよう…。

　そんな事を考えながら零は先に帰宅した。

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