嘘と愛
 ディアナの周りには嘘が多かった。
 無事に戻ってきた娘は、ディアナと血の繋がりもなく幸喜とも血の繋がりがないと噂されていた。

 中学生の時に怪我をしたが、両親とも輸血ができず。
 2人の血液型はO型なのに、椿の血液型はA型だった。

 そしてディアナは結婚してからも、子供が産まれてからも、殆ど家にいないとか…。
 幸喜名義のクレジットカードを使って、海外旅行ばかりに行って好き勝手やっていた。

 
 隆司は最終的に、全てはディアナが企てたことだと断定していた。
 あの誘拐事件の時、一番身動きが取れていたのはディアナだけだと。

 出産したばかりのイリュージュには、あそこまで動くことはできなかったと…。
 
 そして…隆司は助産師の美奈からディアナから偽証してほしいとお金をもらっていた話を入手していた。
 その話を聞いて、隆司はディアナが真犯人で間違いないと確信した。


 あの運命の日。
 隆司は美奈から詳しい話を聞くために、待ち合わせ場所に向かっていた。
 だが向かう途中で何者かに射殺された…。
 目撃者も現れず、犯人は未だに見つかっていない…。




 零はお風呂から上がり、用意してあった着替えのパジャマを見て。
 どこかで見覚えがあると思った。

 パジャマを着ながら、とても着心地が良く片手でも随分着やすくて。
 ワンピースになっていてとても楽なのを感じた。

 刑事になってからは、なるべく着替えに時間をとらないようにと思っていてパジャマはスウェットのようなものを選んでいた。
 
 久しぶりに可愛い系のパジャマを着た零は、なんとなく嬉しさを感じていた。



 零はお風呂から出て来ると、飲み物が用意してあるからと空に言われてリビングにやって来た。


 リビングでは先にお風呂を済ませた幸喜が、ソファーでテレビを見ていた。

「零ちゃん、これ湯上りの飲み物どうぞ」

 食卓に冷たい飲み物が用意されていた。

「有難うございます」

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