嘘と愛

 栞とは夜の繁華街で出会い、同じような境遇で気があった。
 栞は両親が無関心で構ってもらえなかったと話していた。
 中学生の時から夜の繁華街に出歩くようになり、表向きは真面目な自分を演じていた栞。
 高校生になると援助交際を始めた栞は、お金さえあれば男は言いなりになると思い込んでいた。
 気に入らない人は男にお金を払い、むちゃくちゃにしてもらったり、酷い嫌がらせを仕掛けて潰してきたとも話していた栞。
 見かけは可愛い女の子を演じている栞が、裏でそんな事をしているとは誰も思わない事をしていた。

 椿と気が合う栞は、宗田ホールディングに話をつけてもらい入社した。
 入社当時から幸喜の愛人になろうかしら? など話していた栞だったが、スキがない幸喜に近づくことが出来ないまま、他の男性社員を誘惑していた。
 既婚者から独身男性まで虜にし続けてきた栞。

 そんな栞に、椿は大雅を誘惑して欲しいと頼んだ。
 手付けに100万円払って、栞を動かした椿だった。
 だが栞の策略は失敗してしまった。


 失敗した栞に腹を立て、椿は釣るんでいる悪い連中に頼み栞に暴行させた。
 暴行により怪我をした栞に椿は。

「この怪我は副社長に負わされたと、警察に被害届を出して」

 と言った。
 怪我をしてボロボロの栞に、憮然として100万円の札束を投げつけ、見下していた椿。

 栞はお金を見ると椿の言う通りになり、警察に大雅に暴行されたと言って被害届を出した。

 だがその嘘はすぐにばれてしまった…。
 
 大雅と栞が抱き合っている写真を警察に送った椿だったが、それも有力な証拠にはされなかった。

 栞を使った計画に失敗した椿はディアナを探し出し、手を貸してもらおうとしたが、ディアナは逃げる事に決めたことで手は貸せないと言った…。

 頼る術はなくなり後は自分でやるしかないと椿は決めている。
 だが何となく、自分がやっている事にむなしさを感じているのが本音ではある。

 ディアナはお金で男を買って、好き勝手やりたい放題やっている。
 椿もそれを真似して、今でもお金を使いたい放題使って、お給料は全てホストクラブに費やしている。
 そして気に入ったホストと一夜を共にするためにまた高額を使う…。
 その繰り返しをしている。
 しかし…
 椿の中では、本当はそんなことをしたくない気持ちがあった。

 それは…。
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