嘘と愛
そんな幸喜を見ていると、なんだか大雅は無性に腹ただしくなり、勢いよく幸喜の胸ぐらをつかんで睨みつけた。
「うるせぇなぁ! いちいち親の顔すんな! 」
「なに? 」
冷静な顔をしていた幸喜が、珍しく怒った目を向けてきた。
「どうせ俺は他人だろう? 俺が何しようと、テメーに関係ねぇだろ! 」
大雅の言葉に怒りの目を向けていた幸喜の目が、激怒の表情に変わったのを大雅は感じた。
「なんだと? もう一度言ってみろ! 」
穏やかだった幸喜の口調が荒くなり、大雅の胸ぐらをつかんできた。
そんな幸喜に大雅はちょっと驚いた。
「お前の事が他人だなんて、いつ言った? 誰がそんなことを言った? 」
大雅を真っ直ぐに見つめて怒っている幸喜の目は、怒りもあるが悲しみと心配する気持ちもあったように大雅は感じた。
その目が本当は嬉しかった。
心配してくれていたんだって大雅も感じた。
だが素直になれなくて、大雅は幸喜を振り払い殴りかかって行った。
「うるせぇんだよ! 」
バコっ! と、頬を殴られた幸喜。
「なにしやがるんだ! 」
バコっ! 幸喜も大雅の頬を殴り返してきた。
その弾みて大雅はキレてしまい、そのまま幸喜と取っ組み合いの喧嘩になり家の中を走り回り、お互いが追いかけあって殴りあい。
リビングで大暴れするくらいの喧嘩になってしまった。
悪い連中とつるんでいる大雅は、喧嘩になれていて殴られても立ち上がり何度も幸喜に立ち向かて行く。
幸喜も息が上がっても何度も大雅に立ち向かってくる。
見かけによらず幸喜は強く、殴られても起ち上って来る。
息が上がっても大雅を背負い投げできるくらいで、そんな幸喜に驚くばかりだった。
次第に殴り疲れてきた大雅は、リビングにある椅子やテーブルの上にある物を投げつけてきたり、食器棚から食器を取り出し投げてきたりとむちゃくちゃやり始めたが、幸喜は全て交わしてしまった。
そのうち大雅は、椅子を壊したり、テーブルを蹴飛ばしてひっくり返したりと大騒動になってきた。
そんなところに、騒動に気づいた夏樹がやってきて、大雅と幸喜を止めようとしたが、2人共ヒードアップして止める事が出来なかった。