嘘と愛

 フードの女が急ぎ足になり零に近づいてきた。

 キラリと光るものをポケットから取り出し。

 零の傍に近づくと勢いよく振りかざした!

 気配に気づいて振り向いた零は、光るものが勢いよく降りてきて防御する為身構えた。
 だが…

 サッと誰かが現れ、フードの女を背負い投げした。

 地面にたたきつけられたフードの女は、痛みをこらえて立ち上がると光るものを突き付けてきた。

 光るものはナイフだった。


 零を庇ったのは…
 あのサングラスの女性、楓だった。
 フードの女は楓を睨んでいた。

「邪魔するな! お前も殺すぞ! 」

 どこかで聞き覚えのある声で言われた。

「殺したいなら、殺しなさい! 」

 フードの女はナイフを突きつけたまま、楓へにじり寄って来た。

 楓は零を庇いながら様子を見ている。

「あの、私は大丈夫ですから。さがって下さい」
「いいえ、大丈夫です。逃げて下さい」
「何を言っているんですか? 逃げるのは、貴女の方です」

 フードの女は、また勢いよくナイフを振りかざしてきた。

 楓は零を庇いながら、フードの女をよけてゆく。

 
 よけながら、フードの女の腕をつかみ、ナイフを持っている手をひねり上げた。
 捻り上げられた痛みで、フードの女はナイフを落とした。

 カランと音を立て、ナイフは地面に落ちた。


 零は携帯電話で他の刑事に連絡をして、助けを呼んだ。

「急いで来てください、フードの女がナイフを持って切りかかって来ました! 」


 楓は女のフードを取った。

 女は…椿だった。


 椿は悔しそうに零を睨みつけた。


「水原! 大丈夫か! 」

 同行していた仲間の刑事がやって来た。

 刑事がやって来ると、楓は椿に且つを入れて気絶させた。


「もう大丈夫よ」

 楓は刑事が近づいてくるのを感じて、その場から走り去った。


「あ! 待って下さい! 」

 零は楓を追いかけた。


 商店街を抜けて、大通りまで楓を追ってきた零だが見失ってしまった。
 辺りを見ても楓の姿はなく。
 見失ってしまったと、零は愕然と諦めて戻って行った。

 零が去った後。
 楓は物陰から出て来た。
 そしてそのまま去って行った。


 零が戻って来ると、応援の警察官が来て椿を連れて行くところだった。

 零もそのまま一緒に署に戻る事にした。

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