エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
頬に触れればピクリと肩を揺すり、半袖ブラウスの胸元を握りしめて動悸と闘う様子がいじらしい。

「過去だの、歳の差だの、理屈をこねて諦めるのはやめにした」
「先生、それって……」

期待の滲む詩織の目の奥を覗き込むようにして、矢城は正直な想いを告げる。

「詩織ちゃんが好きだ。俺の恋人になってくれ」
「は、はい……!」

嬉しそうにはにかむ彼女の瞳が潤んでいる。
街灯の明かりを映してキラキラと。

宝石よりも価値ある輝きだと矢城は感じていた。
詩織の表情や言葉、態度のひとつひとつに矢城の胸は熱くさせられる。
それはまるで崩れた壁から愛しさが溢れ出てくるようで、大事にしたいという思いと同時に欲情をぶつけて壊してしまいたくなる。

抗いがたい欲望のまま、唇を奪おうと顔を近づけたが、寸でのところで理性が勝った。

「路上ではマズいな。帰ってからにしよう。ああ、あのことは今夜から解禁な」

以前、詩織が抱き枕になりたいなどと言い出したことがあり、たとえ掃除目的であっても矢城の寝室に立ち入ることを禁じていた。
解禁とは、そのことだ。

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