エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
速い心拍のせいで酸素が欲しいのに、呼吸の仕方がわからなくなりそうだった。
苦しくなって唇をずらしても、すぐに追いつかれて、ほのかにウイスキーが香るキスを執拗に与えられる。

(ドキドキして、苦しくて、嬉しくて、本当にどうにかなってしまいそう……)

頭に霞がかかり、ぼんやりしてきたら、矢城の手が詩織のパジャマのボタンにかかった。
全てを外され、脱がされてから、唇を離される。

詩織としては酸欠でぼうっとしたままの方が、恥ずかしさを感じずにいられたのだが、キスしたままでは詩織の体が見えないということなのか。
頭が働きだすと、たちまち羞恥に捕らわれ、慌てて下着一枚の胸元を隠した。

しかしその手を外される。

「手の位置はここ。動かしたら駄目だよ」

矢城は詩織の両手首を腹部の前で交差させると、左手のみでやすやすと拘束した。
右手の人差し指がブラの肩紐にかかる。
ゆっくりと、わざと時間をかけるようにそれを肩から外した矢城は、続いて膨らみを隠す布地の上辺にも指をかけた。
詩織の顔をじっと見ながら。

詩織は自分の心音が爆発しそうに鳴り響くのを耳にしている。
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