エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
そして赤沼はというと……眼鏡を外して、ハンカチで目元を押さえていた。

『赤沼さん、すみません……』
消え入りそうな声で謝れば、キッと睨まれた。

『余計に惨めになるので謝罪はやめてほしい。いいんだ。わかっていたことだ。ノーマルの矢城先生は落とせないということは』

かける言葉をなくしていた詩織に対し、矢城は赤沼の皿に焼き上がった肉を次々と入れていた。

『先生、僕にそのような気遣いは……違うようですね。焦げた肉を押しつけるのはやめてください』
『箸を止めるから焦げるんだ。泣かずに食え。俺は前々から男とは付き合えないと言ってるだろ。いい加減に諦めてくれ』
『もう少し優しい言葉がけはないんですか。失恋ショックで辞めてもいいとでも?』

悔しまぎれの様子で言ってしまってから、赤沼は焦り顔をした。
辞めるつもりはないのに、いいよと言われそうな気がしたからだろう。

けれども矢城は一番焦げている肉を自分の口に入れると、苦そうに顔をしかめて言った。

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