エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
「あ、あの、朝からそんな……」

遠慮なく悪さする矢城の手を胸から外そうとしたが、ブラウスのボタンをふたつばかり外されて、下着の中にまで男らしい手が侵入してきた。
「朝だからだよ」という笑い交じりのバリトンボイスが耳を刺激し、危うく色のある声を漏らしそうになってしまう。

「朝だから……?」
「男って生き物は、朝が元気なんだ」

そんなことを言った矢城が詩織の腰に下半身を押しつけてくるので、否応なく顔が朱に染まる。
バサリとバスタオルが落ちた音がした。

詩織がオロオロしていたら、ハハッと笑った矢城が自主的に離れてくれた。
バスタオルも拾って腰に巻き直したようなので、詩織は恐る恐る振り向く。

「朝は襲っている時間がないから我慢するよ」

ニッと笑った彼に夜中の艶めいた雰囲気はなく、どうやらからかわれただけのようだ。
詩織の頭をポンと叩いた矢城が、ドアを開けて寝室に入っていった。

矢城の寝室も詩織が少しずつ片付けて、衣類はハンガーラックや引き出しにしまわれている。
以前は干してあるものから取って着て、洗濯機の前で身支度を済ませていた矢城が、今は部屋で着替えるようになった。
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