エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
「サンドイッチか。ちょうど食いたい気分だったんだ」と瞳を細めた。

着席した彼にアイスコーヒーを出し、詩織はいつも美緒が座っている隣の席に腰を下ろした。
正面より隣の方が距離が近いという、乙女心である。

卵サンドから口にした矢城が、「うまい!」と褒めてくれた。

「詩織ちゃんに飯を作ってもらうの、当たり前になってしまったな。面倒な時は作らなくていいからな。その辺で買えばいい。無理はしないでくれよ」
「面倒だと思ったことはありません。作るのが楽しいです」

それは本心である。
自分の分だけなら面倒にも思うだろうが、矢城に食べてもらえると思えば張り切って作ることができる。

(美味しそうに食べてくれるから、その顔をみたいというのもあるかも……)

ふたりきりの穏やかな昼食時に幸せを感じる。
詩織は小食なので、三種類のサンドイッチは小さめカットのものがひとつずつ。

矢城はその三倍ほどの量で、たぶん成人男性の標準的な量だろう。
それをすぐに平らげて、スープも飲み干していた。
ハムとチーズ、レタスのサンドイッチをまだ食べている途中の詩織を、矢城が頬杖をついて眺めている。

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