エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
意図せずに子宮の奥が熱くなり、この人を完全に自分のものにしたいという独占欲と、矢城の自分に対する愛情への不安を天秤にかけて悩む。

しばらく返事に迷ってから、詩織は問いかけた。

「矢城先生の本心を聞かせてください。責任や義務感、そういったものを除いて本当に私と結婚したいのか……。せっかくプロポーズしてくださったのに、こんな可愛くないこと聞いてすみません。でも私、先生の重荷になりたくない……」

「ああ、なるほど」

矢城は嘆息した。
そのため息がどういう意味を持つのか……仕事中と同じ冷静な表情からは読み取れない。

その時、無言の車内に外からのうるさいエンジン音が入り込んだ。
隣の追越車線を、この車と色違いの赤いスポーツカーが抜かしていったのだ。

と思ったら、ウインカーも上げずに前に割り込んできて減速させる。
その後にすぐ追越車線に戻り、加速した。
まるで矢城に、怒って追いかけて来いと言っているのかのようだ。

詩織はひやりとして身構えてしまったが、矢城は眉ひとつ動かさず、挑発には応じない。
無視された赤いスポーツカーはつまらないと思ったのか、そのまま先へと離れていった。

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