エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
その後に矢城が動いた。
詩織の手を取り、自分の首筋に触れさせる。
「先生……?」
戸惑う詩織に矢城が静かな声で問う。
「わかる? 俺の脈。かなり速いと思うんだが」
詩織の指先は矢城の頸動脈上に当てられている。
トントンと刻むリズムは、確かに速めである。
詩織と同じくらいに感じるので、動悸と言っていいだろう。
矢城が自嘲気味な笑みを浮かべて言った。
「プロポーズをするのは初めてだ。これでも結構、緊張している」
「全然わかりませんでした……」
詩織は驚いていた。
仕事中のように淡々として、事務的なまでに冷静に見えたからだ。
「そうだろうな。俺の悪い癖なのかもしれない。慌てふためく弁護人は嫌だろう。緊張や焦りが高まるほど平静を装う癖がついているんだ。仕事上では必要な能力だが、プライベートではいらないな。詩織ちゃんに、俺の愛情が伝わっていないようだから」
離された右手を、詩織は胸元で握りしめた。
矢城は緊張しながらプロポーズしてくれていた。
期待と不安の両方を感じ、そうなるのは詩織を愛しているからこそであると、彼は言いたいのだろう。
詩織の手を取り、自分の首筋に触れさせる。
「先生……?」
戸惑う詩織に矢城が静かな声で問う。
「わかる? 俺の脈。かなり速いと思うんだが」
詩織の指先は矢城の頸動脈上に当てられている。
トントンと刻むリズムは、確かに速めである。
詩織と同じくらいに感じるので、動悸と言っていいだろう。
矢城が自嘲気味な笑みを浮かべて言った。
「プロポーズをするのは初めてだ。これでも結構、緊張している」
「全然わかりませんでした……」
詩織は驚いていた。
仕事中のように淡々として、事務的なまでに冷静に見えたからだ。
「そうだろうな。俺の悪い癖なのかもしれない。慌てふためく弁護人は嫌だろう。緊張や焦りが高まるほど平静を装う癖がついているんだ。仕事上では必要な能力だが、プライベートではいらないな。詩織ちゃんに、俺の愛情が伝わっていないようだから」
離された右手を、詩織は胸元で握りしめた。
矢城は緊張しながらプロポーズしてくれていた。
期待と不安の両方を感じ、そうなるのは詩織を愛しているからこそであると、彼は言いたいのだろう。