エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
すると背中の重みが消え、刺激がやんだ。
矢城が果てたのかと思ったのだが、仰向けに戻された後にはまた、ヌルリと熱く硬いものが侵入してきた。

甘く呻いて、身じろぐ詩織に覆いかぶさった矢城は、これ以上ないほどの色気を醸している。
汗ばんだ肌も、乱した呼吸も、情熱的な瞳も、なにもかもが妖艶だ。
ただ、少し困り顔をして、詩織に注意する。

「声、我慢できる?」
「ご、ごめんなさい!」
「感じてくれるのはすごく嬉しいけどな。防音工事が必要か」
「いえ、あの、私が気をつけますので……あっ、ああっ!」

嬌声が漏れるのを気にしているというのに、矢城が腰の動きを速めるから、詩織は喘いでしまう。
すると、「しょうがないな」と笑った矢城が、詩織の唇を塞いだ。

なまめかしく動く舌先に翻弄され、溺れそうになる。
その息苦しさも感度を高めるためのスパイスにしかならない。

唇を合わせたまま矢城は呻き、詩織は体を震わせた。
やっと果てた矢城が詩織の横に体を沈め、両腕を回して強く抱きしめてきた。
乱した呼吸を整えている彼に、顔を覗き込まれる。

高みに上らされた詩織はまだ、余韻の中でぼんやりしている。
意識が徐々に形をなして、矢城にじっくりと顔を見られていると気づいたところで、チュッと軽いキスをもらった。

「愛してるよ、詩織」

激しい情事の後なので言葉が出ず、詩織は微笑みを返した。

(私も、愛してます……)

矢城が手を伸ばしてベッドサイドの照明を消した。
カーテンの隙間がほのかに青白く、夜明けの気配を感じる。

幸せな疲労感が、ふたりをすぐに眠りへと誘う。
それでもお互いを抱きしめて離さない、ふたりであった。


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