エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
「肌はピチピチのナイスバディ」と詩織を褒めた矢城が、ニッと口の端を上げる。

「うっかり触りたくなって困るよ。詩織ちゃん、俺にお尻を触られないよう、気をつけてね」
「せ、先生……」

返事に困って詩織は目を逸らす。
美緒は矢城をポカポカ叩いて、大人になったら詩織より美人になると抗議しており、赤沼は険しい面持ちで立ち上がった。

先ほどより強い非難の感情が、赤沼から伝わってくる。
彼はきっと正義感が強いのだろう。
矢城の軽い冗談を許せない様子なので、詩織は慌てた。

(喧嘩になったり、赤沼さんがこの事務所を辞めたりしたら困る。私はどこへいってもトラブルメーカーなの……?)

けれども――。

矢城の真横に立った赤沼が、おもむろにスーツのジャケットをたくし上げて、矢城の方にお尻を向けた。

「先生、そんなに触りたいのでしたら、僕のをどうぞ」
(えっ……?)
「浅木さんの臀部を触ったら犯罪ですけど、僕なら喜んで受け入れますので。身も心も矢城先生に捧げたい。さあ、遠慮なく触ってください」

赤沼が矢城に食って掛かるのを心配していたというのに、これは一体どういうことか。
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