ふたり
「…おい」
…はぁ。
今日はベアの反抗(?)が凄まじかったなあ…。
あんなドカバキ殴らんでもええやんか…
後ろにいたから話しかけただけなのに…っ
「おい」
ウチはなにかしてしまったんやろか…?
…いやいや、今日は要先輩のお見舞い行ったくらいしか無いし…
「…」
((べしっっっ
『っったぁ!?!なんやベア!!まだ怒って…』
まだ怒ってるんか、と言おうとして後ろを振り返ると、まあなんと不機嫌そうな棗が佇んでいた。
『な…棗やったんか』
不機嫌そうにこちらを見ているだけで、棗は言葉をなんにも発しない。
『もう、突然あたまべシッてしたら痛いやんか!名前呼んでくれはったらええのに』
「…何回も呼んだっつーの。ばーか」
やっと話してくれた!…と思ったら、ずっとウチのことを呼んでいたらしい。
棗はなんだか無愛想だし、ちょっとっていうかわりと乱暴なとこはあるけど、人のためなら自分を犠牲にする道だって選ぶようなやつで。
仲間だって思ったやつは最後まで見捨てないんだ。本当はすごくすごく優しいのに…
『棗は素直じゃないんやからっ』
なーんて言ってみたりすると、ぷいって顔を背けてしまう。
「…るせ」
スタスタとウチを追い越して寮へと歩き出した棗を、
何のためにウチを呼んでたんやー!!
ってひとつ叫んでから小走りして追いかけた。
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