ほろ苦彼氏の甘い口づけ
左右から飛んできた質問に返答するも、4つの目は変わらず丸く開かれたまま。



「じゃあ、さっきあたしの話に相槌打ってたのって……」

「ためになるなぁって意味で打ってた」



自分の出る幕がないと判断したのは、わざわざ質問しなくてもいいやと思っただけ。

私も何個か気になってたことあったけど、琴実と愛菜が先に尋ねてたし。似たような質問に何回も答えさせるのもなぁって。


聞き役に徹していた理由を話したら、「そっちの意味だったの……」と、なぜかガックリと肩を落とされた。



「まさか熟年組が純潔とは……」

「マジそれ。うち、てっきり高校生の時に経験済みかと……」

「うんうん。この中で1番乗りだと思ってた。倦怠期ってわけじゃないよね?」

「いやいや。会う約束してるんだからありえないよ」



心配の眼差しを向ける愛菜に手を振って否定した。


世の中のカップルの大半が1度は経験するであろう倦怠期。


しかし、私達の場合、付き合う前は同級生兼友人の関係だった。

だからか、今まで1度も『飽きる』という感情を抱いたことがない。
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