ほろ苦彼氏の甘い口づけ
ちょうど写真を撮り終えたカップルらしき2人組が近くにいたので、彼らにお願いして撮ってもらうことに。

スマホを渡し、アーチの下でポーズを取って表情を作る。



「いきますよ〜。はい、チーズ」



彼女の掛け声でシャッターが数回切られた。



「どうですか？　ちゃんと撮れてましたか？」

「はい！　ありがとうございます！」



スマホを受け取り、写真を確認する。


腕を頭の上で曲げた、大きなハートポーズ。

満面の笑みの私に対し、司はちょっぴりぎこちない笑顔を浮かべている。

今まで写真は山ほど撮ってきたけど、どれも友達とのツーショット感が漂ってて、あまりカップル感がなかったんだよね。これは貴重だ。



「司、顔赤くなってる」

「そっちこそ。今も真っ赤だよ」

「ええっ⁉」

「うそ。冗談」



急いで顔を上げると、ふふふと笑う彼と目が合った。

ライトの効果で赤らんでいるだけで、実際に照れているわけではない。けど、間近でお砂糖レベルの甘い笑顔を見ることができた。
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