ほろ苦彼氏の甘い口づけ
濡れたシャツを隠すようにタオルを私の肩にかけると、保健室に連れていってくれた。


実はその日、期末テスト最終日。
きっと朝のホームルームが始まるまで復習するはずだっただろう。

予定を崩した上に時間までも奪ってしまい、心底申し訳ないと思いつつも、私を優先してくれたことに嬉しさを感じた。


事情を話して保健室の先生に替えの服を借り、無事にテストが終了。

母に迎えを頼もうとしたのだけど、『近所だし送るよ』と司に言われ、お言葉に甘えることに。


乾いた制服を取りに行き、着替えて小走りで昇降口へ。



『司っ、遅れてごめん!』



周りに人がいないことを確認し、窓際で待つ後ろ姿に声をかけた。

しかし──。



『はな、え……』



急いでいたのもあり、昇降口の外まで確認する余裕がなかった。


弱々しく私の名字を呼んだ司の近くにいたのは……他校出身のクラスメイト。

それも、噂話が大好きな、学校の情報屋的存在の男子だった。
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