ほろ苦彼氏の甘い口づけ
「私も一応、一緒に過ごす予定かな」

「どこで? レストラン?」

「家だよ」



愛菜のキラッキラの瞳が自分に向く。


バレンタイン当日は、各自お菓子を持ち寄ってホームパーティーを行う予定。

場所は、実家暮らしをしている彼氏の家。


最初は私の家に招待するつもりだったのだけど、学生マンションなため、派手に騒ぐと近隣住民の迷惑になる可能性がある。

なので、思いきりはしゃぐことができる場所に変更したのだ。



「お家デートかぁ〜! こっちも平和に見せかけた甘い匂いがしますね〜」

「ちょっと、嗅がないでよっ」



犬みたいに鼻をクンクンさせて近づく愛菜を押しのけた。

さっきから人の予定ばっかり聞いて。
あと、平和に見せかけたってどういう意味よ。妄想でも繰り広げてるの?



「そういう愛菜は? ここまで探るのなら、私達よりもさぞかし甘々な予定があるんでしょうねぇ?」

「……まぁ、ね」



言い返した途端、急にしおらしくなった。しかし、口元だけは興奮を隠せていない。

このニヤけ具合は相当甘々だと見て取れた。
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