ほろ苦彼氏の甘い口づけ
迫りくる情報屋から鋭く指摘が入った。


全身濡れて、傘も壊れて。

司と先生のおかげでテストは上手くいったけど……もしかして今日は厄日だったのかな。


観念して理由を話そうとしたその時。



『友達だから。仲良しなら下の名前で呼ぶことだってあるだろ』

『ええっ、でも』

『テストが終わってテンションが上がったはずみで口にしただけ。でしょ? 美羽』

『う、うんっ』



こてんぱんに言い負かしてくれたおかげで、その後は何も追及されることはなく。

傘に入れてもらって仲良く帰路に就いた。



「本当、冗談抜きで中学生活終わったかと思ったよ」

「めちゃくちゃ厄介だったもんな。けど、それが引き金になって付き合えたんだから、結果オーライじゃない?」



記憶がよみがえったのか、司はコーヒー味のドーナツを食べながら話を展開していく。


クラスメイトを振り切って相合傘で帰る途中……私達は友人の関係から恋人の関係に変わった。
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