ほろ苦彼氏の甘い口づけ
秘策②制服の着用。
ちなみにこれは、秘策①を思いついて約2時間後にひらめいた。


狙いは単純。交際当初の頃を思い出してもらうため。


寄り道して帰ったなぁとか、放課後2人で勉強会したなぁとか。

懐かしい記憶と共に初期の気持ちもよみがえれば、胸がときめくのではと考えた。



「中3の時、ゲン担ぎデザインのお菓子を食べまくったの、覚えてる?」

「うん。昼休みと放課後に分けて食べて、次の日口の下にでっかいニキビできたよな」

「しかもお互い同じ場所だったよね! ウエヤマくんに『ニキビまでお揃いかよ』ってからかわれたな〜」

「俺も言われた。っていうか、ウエヤマじゃなくてカミヤマじゃない?」

「あれ? そうだったっけ?」

「おいおい、年月が経っているとはいえ、せめて恋のキューピッドの名前くらい覚えといてやれよ」



「可哀想に」と同情する司だけど、クククッと笑みが漏れている。


鉄仮面モード完全オフ。

予想以上の反応だったから引かれたんじゃないかと不安に思っていたけれど……好感触っぽい。
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