ほろ苦彼氏の甘い口づけ
彼の左手に握られている紙袋に視線を落とす。

メイクをする人なら誰もが知っているであろう、有名なハイブランドのショップバッグ……しかも世界中で人気のやつだ。



「さすがお金持ち。プレゼントも一級品だね。妹ちゃんはどこ受けたの?」

「大学附属の高校。先生が言うには首席で合格したんだって」

「首席⁉ 兄妹揃って優秀とはすごいなぁ」

「いやいや、俺よりもあっちのほうが頭いいから。成績もずっと1位だったし」

「おおーっ、それなら跡継ぎの座を奪われないように頑張らないとね!」

「本当だよ。これでも内心焦ってる」



沢村は代々お医者さんの家系で育ち、将来は家を継ぐことが決められている。

仲良くなった今でこそ砕けた話し方だけど、出会った時は敬語を使っていて、1人だけ醸し出す雰囲気が違ったっけ。



「華江は、今1人?」

「そうだよ。これからバレンタインデーに司と食べるチョコを買いに行くんだ」

「へぇ。それなら一緒に行く?」
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