ほろ苦彼氏の甘い口づけ
「でね、私、何もかもが初めてだから、これだけは気をつけておいたほうがいいことが知りたくて。教えてくれる?」

「オッケー。あたし流の掟で良ければいくらでも伝授しよう」

「じゃあうちも聞いていい? まだ1ヶ月だけど、いずれその日が来るだろうし」

「いいよ! 気になることがあるなら何でも聞いて!」



乙女チックな明るいムードが消えて、豊香先生による質疑応答タイムが始まった。


清潔であることが大前提だの、相手を思いやる気持ちを忘れずにだの、熱のこもった助言が次から次へと飛び出す。

熱く語る彼女を、2人は真剣な目で見つめてうんうんと何度も頷いている。


これだけ事細かく説明しているなら、私の出る幕はなさそうだ。

適当に相槌を打ちつつ、残りのココアをのどに流し込む。



「なるほど。服はどんなのがいいかな?」

「そこは好きな服でいいと思うよ。でもせっかくなら、チョコに合わせて服もバレンタイン風にしてみるのはどう? 例えばリボンを付けるとか」
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