ほろ苦彼氏の甘い口づけ
「ふーん、お礼したくなるくらい真剣に乗ってたんだ」

【なに? 羨ましい?】

「全然。真面目な内容だったの?」

【まぁ、うん。なんとなく元気なさそうに見えたから、励ましてあげた】

「落ち込んでたのか?」

【うわっ、食いつくねぇ。そんなに知りたいの?】

「いや……お前、少し毒舌なところあるから、傷つかせたり困らせたりしてないかなって……」



図星をつかれて言い訳する声がしぼむ。

否定したものの、人の心を見抜くのに長けている宗星が言うんだ。気にならないわけがない。


今月で既に2回会っているけど、特に変わった様子はなかった。

ハンバーグもドーナツも幸せそうに食べていて、イルミネーションも満面の笑みで眺めていた。


体調不良なら外出は控えるはずだから……人間関係とか学校に関すること?

宗星の特技と親の仕事を考えると、自分から相談を持ちかけたというより、今の俺みたいに、胸の内を見抜かれて吐露せざるを得なかった。とか?


この短期間で何か不安を感じさせる出来事が起こったのならば、少し心配だな……。
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