ほろ苦彼氏の甘い口づけ
【……本当に好きなんだね。心配はご無用だよ。帰る頃にはスッキリした顔してたから。最後にちょっとだけ困らせた発言はしちゃったけど】

「えっ、何言ったんだよ」

【ナイショ。ヒントは『お前がそれ言う⁉』って感じのやつ】



すかさず問い詰めるも、問題にしてはぐらかされてしまった。

ヒント通りなら、恐らく富裕層の人間とは思えない発言だったのだろう。



「教えるつもりがないならいちいち言うなよ」

【ごめんごめん。そういう新淵は?】

「ん? 何か相談事ないかって?」

【うん。俺の勘違いならいいんだけど、今日はやけに問い詰めてくるなぁと思って】



ピクッと眉間に力が入った。



【前にも華江と町で会ったって話した時、こんなに突っかかってこなかったからさ。さっきも素直に嫉妬してること認めてたし。もしかして何かあった?】

「…………」



宗星いわく、相手の心を見抜く時は、わずかな表情の変化に加え、声色や手の動きまで観察しているらしい。
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