ほろ苦彼氏の甘い口づけ
電話だと判別するのは声だけ。
多少怒っても、今日はご機嫌ななめなのかなと捉えると思い、気にせず話していた。

のだが……どうやら全部お見通しだったようだ。



「特に喧嘩はしてないんだけど……」

【うんうん】

「……衝動を抑える薬、ない?」



これ以上誤魔化しても無駄だと悟り、直近2回のデートでの美羽の言動を話した。



「最近やけに押しが強くて。否定してたけど、やっぱりドッキリでも企んでるのかな」

【確かに、おとなしいタイプの華江にしてはかなり積極的だね。心当たりはあるの?】

「……スキンシップが少ないから。とか?」



イルミネーションを観た後、何の前触れもなく誘われた。

すごく戸惑ったけど……俺ともっと過ごしたかったのかなと思ったら、嬉しくて。

夜景だけでなくご飯も好評。おまけに友達のオススメで割引券付き。

食事は終えていたのだが、満腹にはなってなかったので、最初は行くつもりでいた。



【なんだ、自覚あるじゃん。行けばよかったのに】

「あのなぁ……」
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