ほろ苦彼氏の甘い口づけ
「……限界に達する?」

【そう。たとえ小さなことでも、伝えないと徐々に不満は溜まっていく。爆発する前にちゃんと話し合うことが大事なんだよ】



真摯に語るその姿はまるで熱血教師。顔は見えないけど。

過去に取り返しのつかないほどの失敗を犯してしまったからこそ、心に刺さって……揺さぶられる。



「なら、来週にでも打ち明けたほうがいい?」

【あぁ。早いうちがいい。学年が上がると忙しくなって会える時間も少なくなると思うし。引き延ばしてたら、次は小学生のコスプレで登場してくるかもよ?】

「……そこはせめて高校生って言ってくれ」



ボソッと返すと、「冗談だって〜」とケラケラ笑われた。


第一印象は、品行方正なお坊っちゃま。

出席番号も席も前後だったのだが、既に高嶺の花の雰囲気をまとっていたため、初めは顔を合わせるのが恐れ多かった。


しかし、話してみたら、意外とお茶目な性格であることが判明。

親しみやすくて、よく相談にも乗ってくれて。
大人顔負けの細やかな気遣いに感心したっけ。
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