ほろ苦彼氏の甘い口づけ
それが今や……。



【にしても、華江があんな大胆なことするとはなぁ。高校じゃなくて中学の制服ってところがまた……】



思い出したことでツボに入ったのか、笑う声に交じってパンパンと何かを叩く音まで聞こえてきた。

自分の太ももを叩いているのだろうか……。



「他人事だからって呑気に笑いやがって。俺、本当にビックリしたんだからな。人間なのに猛獣かと思ったんだぞ」

【ぶははっ! おまっ、やめろって! ただでさえセーラー服で迫られてるの最高に面白いってのにっ】



毅然とした口調で説明するも、さらに刺激してしまった。盛大に笑う声が音割れしている。


これが宗星の本性。真の姿だ。

知ったのは、入学して半年が経った秋。



『ねぇ、ちょっと聞いてくれる? こないだ、私の家の近くでカップルが痴話喧嘩してたの』

『マジ⁉ どんなこと話してたの?』

『私の親友と浮気してたでしょ的なこと言ってた』

『親友⁉ うわぁ、男もだけど女もやばいね』
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