Livre magie〜信じる心〜
「どうする?」

「このままじゃ、バリアはそのうち壊されるよね……」

ゾンビという初めて遭遇する相手に緊張を覚えつつ、僕はメルキュールとどうすべきかを話し合い始めた。こっちは四人、向こうの数はーーー。

「ゾンビだけで百は超えてる。それに……物の怪も僕らを見つけたみたい」

メルキュールの言葉通り、ゾンビに混じって物の怪まで姿を現し始めた。赤い鱗に全身を覆われた巨大な蛇の姿をしている。

「とりあえず、このままではやられてしまう。リオン、エリカ、一緒に戦ってくれる?メルキュールは防御と回復をお願い」

僕はリオンとエリカ、そしてメルキュールを見つめる。メルキュールは「任せて!」と真剣な顔で頷き、少し震えていたリオンとエリカもコクリと頷いて弓や拳銃を魔法で出した。

「大丈夫、僕たちならきっと勝てるよ」

不安げなエリカにそう言い、何気なくその白くて華奢な手を握る。とても温かくて、優しくて、自分の心が落ち着いて行くのがわかる。それと同時に、またあの不思議な鼓動がするんだ。
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