サヨナラ、セカイ。
１－２
ユウスケは、クリスマスに逢いに来るような男でもなかった。ただプレゼントは何かしら。花。アクセサリ。バッグ。･･･目に付いたものを選んでるだけなんだろうって思う。持って帰れないから自分のは要らないって。お財布に優しい男で助かる。

イヴを数日過ぎて『今日、行く』。スマホにたったそれだけの短いメッセージ。

賃貸マンションに一人暮らしのわたしの部屋に仕事帰りに寄って、したいだけして帰る。付き合いだけは長い、もう５年。前の職場の上司だった男。見た目はまあまあ、わりと面倒見もいい方だから嫌われるタイプじゃない。

『･･･キスしていいか』

嫌なら拒めと、始まりから俺サマだった。

好きなものは我慢しないと堂々と言い切って。家庭を壊すつもりもないと、悪びれずに口角を上げた。

楽でいいかな。って思った。
何もあげなくていいのは。

何も持ってないから。
求められるのは苦痛だった。

分かってるから。
まるっきり独りよりはマシな気がして。


カラダだけを繋げるこの感情を“愛”って名前にしていた。
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