サヨナラ、セカイ。
次回の定期検診は来月のクリスマス前。前を通るたびクリニックの駐車場に視線を走らせては、ナオさんの車を定位置に探してしまう。見かけると心の中で、車に向かって『頑張ってね』と話しかけてる自分がちょっとくすぐったい。

離婚の話し合いはどう進んでるのか。電話の声は変わらないように聞こえてた。わたしを不安がらせないように振る舞ってたのかもしれない。




先週、久しぶりに仕事終わりのわたしを車で拾ってくれた彼。会うのは1ヶ月近くぶりだった。途中、人気(ひとけ)のない路地に停車させるとシートベルトを外して顔を寄せた。

『ごめん、我慢の限界』

後ろ頭を捕まえられてひとしきり唇を貪られた。

わたしのマンションに着けば、玄関ドアが閉まるなりまた深いキス。性急にソファベッドに運ばれ、ナオさんはわたしを脱がせたあと初めて自分もすべてを晒した。

『・・・まだちゃんと抱いてやれないと思う。でも沙喜の全部を肌で感じたい』
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