サヨナラ、セカイ。
5-4
マンションを出てから三ツ谷さんのハイブリッド車でおよそ1時間半。連れて来られたのは大きな総合病院の外科病棟だった。
315号室。6人部屋だろうか、扉脇のプレートは5人分。吉見直彦の名前もあった。三ツ谷さんがドアハンドルに手をかけたとき無意識に深く息を逃し、前を見据えた。
彼のあとをついて他の見舞いの人と小さく会釈を交わす。静かに左奥へと近付いてく。カーテンが引かれてて中のシルエットさえ窺えない。三ツ谷さんはそのまま窓側に回り声をかけた。
「吉見、新宮さんを連れてきたよ」
「・・・ありがとな三ツ谷」
少し弱々しかったけど聞き間違うはずがないナオさんの声に、堪えきれず涙が溢れる。
「・・・・・・ナオさん・・・」
「・・・沙喜ごめん、心配かけて」
少し角度を付けたベッドに横たわったナオさんは見るかぎり、顔や頭は無事だった。患者衣の下や掛け布団で見えない胴体や脚がどうかは分からない。袖口から痣が覗く痛々しい腕をわたしに伸ばし、変わらない笑顔を見せていた。
315号室。6人部屋だろうか、扉脇のプレートは5人分。吉見直彦の名前もあった。三ツ谷さんがドアハンドルに手をかけたとき無意識に深く息を逃し、前を見据えた。
彼のあとをついて他の見舞いの人と小さく会釈を交わす。静かに左奥へと近付いてく。カーテンが引かれてて中のシルエットさえ窺えない。三ツ谷さんはそのまま窓側に回り声をかけた。
「吉見、新宮さんを連れてきたよ」
「・・・ありがとな三ツ谷」
少し弱々しかったけど聞き間違うはずがないナオさんの声に、堪えきれず涙が溢れる。
「・・・・・・ナオさん・・・」
「・・・沙喜ごめん、心配かけて」
少し角度を付けたベッドに横たわったナオさんは見るかぎり、顔や頭は無事だった。患者衣の下や掛け布団で見えない胴体や脚がどうかは分からない。袖口から痣が覗く痛々しい腕をわたしに伸ばし、変わらない笑顔を見せていた。