兎月鬼~とげつき 月が奇麗ですね~


「だから、何? 親友? そんな事、あたしたちに関係無いじゃない」


 美兎が言う事は全くの正論だ。だから私は、何も言い返せなくなってしまった。


「でも……」


 でも、陸が悲しむのは見たくない……


「あんた、もしかして……」


 美兎はそこまで言うと、考え込むように口を閉じた。そしてしばらく私の事をジロジロと乱暴に観察すると、大きなため息。

 その視線と行動に何だか居心地が悪くなり俯くと、彼女はやっともう一度口を開いた。


「あんた、もしかして陸に情が移った?」


 美兎の言葉に私は、お母さんに言われた事を思い出した。




『――――人間には情けを掛けてはダメ。ただの食料だと思いなさい。』




「兎月、あんたも地上に降りる前、月で母様に言われたでしょ? 人間なんて、ただの食料だと思えって。あいつらは、あたしたちが生きる為に必要なただの食料よ。情けなんていらない。あいつらだって、牛や豚を食べるのに情けなんてかけないでしょ? それと同じ事よ」


 全く、美兎の言う事は正しい。陸たちが生きる為に食べている物に、情なんて感じていない。可哀そうだからとか、親友だからとか、そんな事はきっと考えない。それと一緒なんだ。

 でも……
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