兎月鬼~とげつき 月が奇麗ですね~
翌日から勇樹は『鬼退治』の為に人を集め始めた。柔道部の猿田、陸上部の犬飼、野球部の雉岡たちに声をかけ『桃太郎の鬼退治だ!』なんて喜んでいたから初めは冗談かと思っていたけど。
他にもどんどん集めてる。何て説明しているのかは分からないが、一日経つとその人数は二十人程にもなっていた。
勇樹は本気なんだ……
何とか勇樹を止めようと、猿田たちと作戦会議だとファーストフード店へ行こうとしていた所を捕まえた。
教室はもう自分たち以外は誰も残っていなかった。最後に一人いた女子も、他のクラスの彼氏が迎えに来てさっき帰ってしまった。
誰もいなくなったのを確認すると、自分の席に座っている勇樹に歩み寄る。勇樹は帰り支度をすっかり終えて、鞄のリュックを背負ったまま座っていた。
「――――で、陸? 何だよ話って」
「……分かってるだろ、何の話か」
「いや、全然? 用があるなら早く言ってよ。俺、明日の『鬼退治』の準備で忙しいんだ」
「その事だ!」
ニヤニヤしながら空惚ける勇樹にイラついて、つい大声が出てしまった。
「え? 鬼退治? なに、陸も一緒に行ってくれる気になったの?」
「行くわけないだろ!」
また大声になってしまった。冷静に話そうと思ってるのに。
他にもどんどん集めてる。何て説明しているのかは分からないが、一日経つとその人数は二十人程にもなっていた。
勇樹は本気なんだ……
何とか勇樹を止めようと、猿田たちと作戦会議だとファーストフード店へ行こうとしていた所を捕まえた。
教室はもう自分たち以外は誰も残っていなかった。最後に一人いた女子も、他のクラスの彼氏が迎えに来てさっき帰ってしまった。
誰もいなくなったのを確認すると、自分の席に座っている勇樹に歩み寄る。勇樹は帰り支度をすっかり終えて、鞄のリュックを背負ったまま座っていた。
「――――で、陸? 何だよ話って」
「……分かってるだろ、何の話か」
「いや、全然? 用があるなら早く言ってよ。俺、明日の『鬼退治』の準備で忙しいんだ」
「その事だ!」
ニヤニヤしながら空惚ける勇樹にイラついて、つい大声が出てしまった。
「え? 鬼退治? なに、陸も一緒に行ってくれる気になったの?」
「行くわけないだろ!」
また大声になってしまった。冷静に話そうと思ってるのに。