#OVER TIME




札幌のランドマークとして知られるJRタワー展望室T38は、観光客で賑わう人気の観光スポットらしいが、運がよかったのかわりと空いていて、望遠鏡を覗きこむ未茉は、

「同じ日で、同じ夜を刻んでるはずなのに、東京とは全然違うな!」

東西南北、360°を見渡せるので色々な方向から札幌の市街地を観られるので目を輝かせて感動していた。
「ん。確かに。」
そんな彼女になんか刺さるものがあった翔真は後ろから覆うように手すりに手をついて、体を寄せた。

「お前はロマンチストだからこういうとこ連れてきたがりだよな。」
「む。駄目なの?」
「嫌いじゃねーけど。あたし的には、食いもんが…」
と言いかけた唇をそっと誰にも見られないように翔真が塞ぎ、

「このキスも、特別だね。」
得意の澄まし顔で不意打ちを食らった未茉に微笑むと、
「おう。きっとうちら今北海道で一番高い所でキスしたな。」
「月に一番近いキスか。悪くないね。」
「いちいちギザなこと言うな!」
「顔赤いよ未茉。」
「今北海道で一番お前が恥ずかしいぞ!」

後ろから大きな胸の中に抱きすくめられると、未茉は嬉しそうに笑った。


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