#OVER TIME
「ちょっと残念だったな。翔真には。」
廊下の壁に寄りかかり、今日の試合を思い返したように言った。
「あ?」
「アイツが一番伸びてたのは、愛知のミニバスの頃じゃないか?」
「そんなことねぇだろ。アイツ頑張ってたからウィンターカップも…」
「頑張ってこの位置ならば、アイツの限界はここだね。」
「おい!」
ムカッとした未茉は、持っていたメガホンを想汰に投げつけた。
「そんな言い方すんなよ!失礼だろ?!頑張ってない奴が全国に来れるか!」
「来れるさ。翔真ならな。翔真だったら全国トップレベルの戦いができる。それだけの素質を俺はミニバスの時から見てきてた。アイツが今まで努力を欠かさず来ていたら俺の位置なんて当に越えてる。」
「…ミニバス…?」
「健より翔真を選んだのは、バスケを切り離したとこで見てるんだろうけど、バスケを共にやってる以上、未茉には相応しくないな。」
「なんだよ想汰、さっきから意味わかんねぇな…」
「嫌でも分かるさ。近いうちに。」
「…?」
「翔真は多分、分かってるぜ。」