#OVER TIME
「なんだよ湊湊って!!あんなつまんねぇ男にお前本気かよ!?」
「つまんなくねぇよ!好きなんだよあたしは!!」
「好きとか言うんじゃねぇ!!気の迷いだ!!目を覚ませ!!」
油断してしまい、ベンチに勢いよく押し倒される。
「嵐やめ…」
顔を背けようとするも、両頬を勢いよく掴んできて、強引に唇を奪いにかかる。
「ん!」
壁に体を押し寄せられ、身動きとれずにまとわりつくような唇にとらえられてしまった。
「ん…ん」
抵抗し、ねじる体から溢れる声が女っぽくて、嵐の熱は上がってく。
掴まれていた手首が次第に未茉の手へ移動し、指先を絡めていき、
「もう我慢できねぇ…今夜俺の部屋来いよ。」
「アホか無理だろ!!」
ありったけの力で振りきると、
「気持ちには答えられないって言ったろ!!」
「今のお前の気持ちなんか必要ねぇ!!!お前がどこを向いていようが、俺の人生にはバスケとお前がいねぇとだめなんだ!!」
「…!」
「生まれた時から、俺の手にはボールがあったように、生まれた時から、俺の心にはお前しかいない。」
「…」
「俺から失くすことも、消すこともできねぇ。」
「嵐…」
「死なない限りだ。嫌われても、一生愛するだけだ。」
熱い熱量と共に鋭い目で突き刺さるように刻まれるように睨まれると、あれだけ入れられてた力がふっと消えて手首は自由になり、去っていった。
「っとに。しつけー…」
ため息つきながら起き上がった未茉は、嵐の後ろ姿を見つめ、状況がどうであろうと、あれだけずっと想い続けてくれることに嬉しさよりも、どうしたら納得してくれるのか分からなかった。
謝ってもきっと諦めない、嵐がそういう奴だって分かってるからだ。