#OVER TIME
ニューイヤーカップ初戦では、明徳女子はチームとしては、悪くない出来だったのにも関わらずウィンターカップ5位の大阪高校とあたり、数点差で負けてしまった。
「マジかよ…悔しい」
試合終了のブザーと共に天を仰ぎ、唇を噛み締める未茉の大きな瞳いっぱいに涙が溢れた。
そしてコートに立つ部員達の目にも涙が溢れた。
全国最多出場を誇る高校の土壇場の強さを発揮され、1Qの入り方も試合の流れもシュート率もよかったものの、4Qでのシーソーゲームに勝ちきれずあと一歩が叶わなかった。
確実にリバウンドの強化という課題が浮き彫りになり、全国制覇の道のりはまだまだ先だと肌で感じた。
「凄くいいチームなんだけどな…、選手にだいぶ偏りがあるな。白石以外の全国の経験がないっていうのも大きな敗因かな。」
「それでも1年と2年でここまで来れただけでも凄いと思うけど…もどかしいな。」
どっちが勝ってもおかしくない試合だっただけに観客達の拍手にも腑に落ちない感はあった。
「明徳は勢いのあるチームなんだけれどね、勢いだけじゃ勝てない。最後は経験が底力を発揮することが多いのが、全国の舞台かな。」
一年間、東京と明徳の取材をしてきた小倉記者もレンズ越しに惜しい声を漏らしていた。